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【国分寺市版】高齢の親の施設入居に伴う実家売却:資金調達、認知症対策、節税戦略を解説

2025年11月24日

【国分寺市版】高齢の親の施設入居に伴う実家売却:資金調達、認知症対策、節税戦略を解説

I. はじめに:高齢化社会における実家売却の最適解

 
1. 高齢者施設入居と自宅処分という二重の課題

親御様が高齢者施設に入居されることは、介護の質の向上と、ご家族の負担軽減という前向きな意味合いを持ちます。しかし同時に、施設の入居一時金や長期にわたる月額費用を捻出するため、長年住み慣れた自宅(実家)の処分という、経済的かつ心理的に複雑な決断を迫られることになります。このプロセスを成功させるには、単に不動産を売却するだけでなく、親の意思能力の確認、適切な税制優遇措置の適用、そして地域の市場動向を深く理解した戦略的な対応が求められます。

本コラムは、東京都国分寺市の皆様が直面する、施設入居を目的とした実家売却の全過程を対象としています。資金計画、法務、税制といった多角的な観点から専門的かつ体系的に解説することで、読者が安心して売却活動を進められるよう、具体的なロードマップを提供します。

2. 国分寺市の不動産市場の特徴と売却の優位性

国分寺市は、都心への優れた交通アクセスにより、常に高い不動産需要を維持している点が大きな魅力です。JR中央線が停車し、快速・特別快速の利用により、新宿駅まで20分台、東京駅まで35分前後でアクセス可能です。また、西武国分寺線や武蔵野線も利用できるため、多方面への移動利便性も高く、ファミリー層や通勤世帯からの人気が根強いエリアです。

このような安定した需要を背景に、国分寺市の不動産市場は堅調に推移しています。直近のデータでは、一戸建ての平均成約価格は2024年で6,082万円と高水準であり、都内全体の平均と比べても競争力のある市場であることが示されています。さらに、土地価格も上昇傾向にあり、例えば2022年時点での平均坪単価は103万円、前年比で**+5.8%**の上昇率を示しており、売却を検討するタイミングとしては非常に有利な状況にあると言えます。

3. 地域市場の強さを活かした資金計画の戦略的優位性

国分寺市の実家は高い資産価値を持つ傾向にあるため、売却によって得られる資金が高額な高齢者施設入居費用を十分かつ余裕をもって賄える可能性が高いという戦略的な優位性が生まれます。

国分寺市内の高齢者施設の費用相場は、入居一時金が242.2万円から最大890万円、月額利用料も20.9万円から29.1万円程度と、施設の種類やサービス内容によって大きな幅があります。資産価値が高い地域であれば、売却益が潤沢になるため、資金調達の懸念が少なくなり、売却活動を焦る必要がなくなります。これにより、市場のタイミングを見極めたり、後述する複雑な税制対策や法的手続きに十分な時間をかけることが可能となります。

ただし、不動産会社の中には、媒介契約を取る目的で、市場の実情に合わない高い査定価格(つり上げ)を提示するケースが存在します。成功のためには、地域の正確な実績に基づき、市場の需要に合った適正な価格を提案する、信頼できる専門家を選ぶことが重要となります。

 
II. 施設入居を見据えた「自宅売却」の最適なタイミングと資金計画


1. 売却を検討すべき4つの重要な節目

自宅売却は、資金計画全体、特に適用可能な税制優遇措置に直結するため、タイミングを見計らうことが重要です。特に以下の4つの転機は、売却の是非と手続きの円滑さに深く関わります。

1. 介護の必要性や判断能力の低下が見え始めたとき: 最も決定的なタイミングです。親御様の意思能力が売買契約締結の成否を分けます。認知症の兆候がある場合は、法的な手続きの観点から、売却活動の開始を急ぐ必要があります。
2. 住宅ローンの返済が終わったとき: 抵当権が抹消されることで、物件の引渡しがスムーズになり、買主に安心感を与えることができます。
3. 定年退職したとき: 親御様の収入が変動する時期であり、施設入居費用を含めた長期的な資金計画の見直しが必要となります。
4. 住まいの劣化・老朽化が目立つとき: 売却前に大規模なリフォームや修繕を避け、劣化が軽微なうちの売却を検討することで、コストを抑えることが可能です。

2. 国分寺市内の高齢者施設費用相場と資金計画

自宅売却の最大の目的は、親御様の長期的な介護費用の確保です。国分寺市内の施設費用を基準に、必要な資金の総額を見積もる必要があります。

施設費用には、入居時に一度支払う入居一時金と、毎月発生する月額利用料があります。国分寺市の相場では、入居一時金は242.2万円から890万円、月額費用は20.9万円から29.1万円程度と幅広く設定されています。仮に月額費用を25万円とし、10年間の入居を想定すると、月額費用だけで約3,000万円が必要となります。

不動産売却の全プロセス(査定から引渡しまで)は約5〜6ヶ月程度を要するのが一般的です。この期間を考慮し、施設への入居予約や、売却が完了するまでのつなぎ資金の有無を明確にし、緻密なスケジュールを立てる必要があります。

国分寺市における高齢者施設費用の目安
 項目  国分寺市内の相場(概算)  含意される資金計画上の重要性
 入居一時金  242.2万円~890万円  売却資金による一括充当が理想
 月額利用料  20.9万円~29.1万円  10年間の費用は約2,500万~3,500万円の準備が必要


III. 親の認知症・意思能力問題に備える法的手続き


1. 不動産取引における「意思能力」の重要性

不動産の売買契約は、売主(親御様)に契約内容を理解し、判断できる「意思能力」があることが大前提となります。もし意思能力が欠如した状態での契約が締結された場合、その契約は法的に無効となるリスクが高く、買主側にも大きな混乱と不利益が生じます。

不動産取引の専門家は、依頼者の状況や取引内容の合理性などを慎重に調査し、意思能力の有無について十分な注意義務を尽くすことが求められています。そのため、認知症の兆候が見られる場合は、売却活動に入る前に、必ず法的な準備を完了させなければなりません。

2. 事前対策:判断能力があるうちに検討すべき二つの選択肢

親御様がまだ意思能力を保たれているうちに、将来の財産管理と売却に備えるための対策を講じることで、資産凍結のリスクを回避できます。

2.1 家族信託の活用:柔軟な不動産処分権の確保

家族信託は、親御様(委託者)が元気なうちに、子(受託者)との間で信託契約を結び、不動産の管理や売却権限を子に移す仕組みです。

家族信託の最大の優位性は、親の判断能力が低下した後も、裁判所の許可を経ることなく、受託者である子が迅速に売却活動(媒介契約や売買契約の締結)を進められる点にあります。これにより、国分寺市のように市場価格が変動しやすい地域であっても、最適な売却のタイミングを逃すことなく、施設入居に必要な資金を迅速に確保できます。ただし、信託契約の組成には、公正証書の作成や信託登記など、数十万円程度の初期費用が発生します。

2.2 任意後見制度との違い

任意後見制度も判断能力があるうちに契約を結びますが、これは財産の保全や身上監護(介護施設の入所手続きなど)を主目的としており、不動産の積極的な「処分」(売却)には制約が伴います。家族信託は不動産の運用・処分権限に焦点を当てているのに対し、任意後見は生活のサポートに重点を置くため、両制度を併用することで、それぞれのメリットを最大限に活かすことも可能です。

3. 事後対策:判断能力が低下した場合の成年後見制度

親御様の判断能力が既に低下している場合、不動産を売却するためには、法定後見制度を利用するしか方法がありません。

法定後見制度を利用する場合、まず家庭裁判所へ「成年後見制度開始」の審判を申し立て、家庭裁判所の審理、調査官による事情聴取、必要に応じた医師の鑑定を経て、後見人が選任されます。

さらに、居住用不動産を売却する場合、成年後見人であっても独断では売却できず、家庭裁判所の売却許可決定が必須となります。許可を得るためには、申立書(800円の収入印紙を貼付)、売買契約書の案、不動産業者が作成した査定書など、詳細な書類を提出しなければなりません。

この一連の裁判所への手続きには、数ヶ月以上の時間を要することが多く、その間に国分寺市の市場状況が変動するリスクを避けることはできません。したがって、親の意思能力があるうちの家族信託による事前対策は、単なる法的なリスク回避策にとどまらず、売却の最適なタイミングを確保するための高度な資産管理戦略であると位置づけられます。

IV. 知らないと損をする!自宅売却の節税戦略

自宅売却によって得た利益(譲渡所得)には譲渡所得税が課税されますが、適切な税制特例を活用することで、税負担を大幅に軽減し、施設費用に充てられる手元資金を最大化できます。

1. 譲渡所得税の基本と長期譲渡所得の税率

譲渡所得税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって異なります。実家のように長期間所有されている不動産は、税率の低い「長期譲渡所得」の適用を目指します。

長期譲渡所得(所有期間5年超)の合計税率は20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)であるのに対し、短期譲渡所得(所有期間5年以下)の合計税率は**39.63%**と、倍近くになります。

2. 最大の節税策:居住用財産の3,000万円特別控除の徹底活用

売主が自宅として利用していた不動産を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円が控除される「居住用財産の3,000万円特別控除」が適用可能です。

この特例を適用するための最も重要な条件の一つは、自宅に住まなくなった日(施設へ転居した日)から3年後の12月31日までに売却を完了することです。この期間を超えると控除の対象外となるため、施設入居後の売却スケジュールは、この期限を厳守するよう計画しなければなりません。また、この特例を利用する場合、前年または前々年に特定の特例(マイホームの買換え特例など)を利用していないことも要件に含まれます。

3. 併用可能な軽減税率特例

所有期間が10年を超えている自宅の場合、3,000万円特別控除と併せて「10年超所有軽減税率の特例」を利用できます。

この特例が適用されると、課税譲渡所得金額が6,000万円以下の部分について、税率が標準の20.315%から14.21%(所得税10.21% + 住民税4%)に大幅に軽減されます。3,000万円の控除と組み合わせることで、節税効果は最大限に高まり、手元資金をより多く確保することが可能になります。

譲渡所得の所有期間別税率比較(復興特別所得税含む)
 所有期間  区分  所得税(復興特別所得税含む)  住民税  合計税率
 5年以下  短期譲渡所得  30.63%  9.0%  39.63%
 5年超  長期譲渡所得  15.315%  5.0%  20.315%
 10年超 (軽減税率適用)  長期譲渡所得  10.21%  4.0%  14.21%


4. 相続後の売却:特例の選択とシミュレーション

親御様の逝去後に実家を売却する場合、相続人が利用できる主な特例として「相続財産の取得費加算の特例」と「空き家を譲渡する場合の3,000万円特別控除」がありますが、この二つの特例は併用が認められていません。このため、どちらを選択するかによって税負担が大きく変わります。

4.1 取得費加算の特例

この特例は、相続税を納めた相続人が、相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に財産を売却した場合に適用されます。納めた相続税のうち、売却した不動産に対応する額を、売却時の「取得費」に加算し、譲渡所得を圧縮する効果があります。ただし、そもそも相続税を支払っていない場合は適用対象外となります。

4.2 生存中売却の優位性

相続後の売却では、これらの特例の選択や、売却期限(相続開始後3年10ヶ月以内)の制約が生じます。特に、実家(自宅)の取得費が不明確な場合、取得費は概算法(譲渡収入の5%)しか認められないため、相続税を納めていない場合は税負担が重くなる可能性があります。

この複雑な制度上の制約を考慮すると、親御様に意思能力があり、3,000万円特別控除の適用要件を満たせるならば、親が自宅として利用していた間に売却を完了し、3,000万円控除を適用する方が、税制上のメリットを最大化し、手続きをシンプルにできる可能性が高いと言えます。売却の最適なタイミング(生前 vs. 相続後)は、各家族の状況により異なりますので、必ず税理士を交えて、詳細な税額シミュレーションに基づいて決定すべきです。

V. 【地域密着】国分寺市で成功するための売却戦略と生活支援


1. 国分寺の市場特性と信頼できるパートナー選び

国分寺市の戸建ては、平均土地面積が40坪超とゆとりがあるのが特徴です。この地域の特性を理解し、土地需要の高さや上昇傾向にある地価を正確に反映した査定を行える不動産会社を選ぶことが、適正価格での売却に繋がります。

特に、地元での成約実績に基づいた正確な査定価格(市場の需要に合った価格)を提示する専門家を選定することで、媒介契約獲得のための査定価格のつり上げを避け、結果として円滑かつ高額な取引を実現できます。

2. 専門家チームの構築

高齢者施設入居に伴う実家売却は、不動産会社単独では解決できない課題が多く含まれます。売却を依頼する不動産会社が、法的な手続き(家族信託や成年後見制度)を専門とする司法書士や、税制特例の適用判断を担う税理士と連携できる体制を持っているかを確認することが、手続きの煩雑さを軽減し、成功確度を高める鍵となります。

ワンストップで専門的な相談ができる環境は、複雑な手続きを抱えるご家族にとって、精神的、時間的な負担を大きく軽減します。

3. 国分寺市における福祉・生活支援制度の活用

売却資金の確保だけでなく、その後の親御様の生活サポートについても、地域の支援制度の確認が重要です。

国分寺市社会福祉協議会では、例えば生活困窮者向けの住居確保給付金など、転宅費用や生活をサポートする制度に関する情報提供を行っています。地域の専門家との連携を通じて、こうした自治体独自の支援制度や補助金に関する情報を入手し、売却前の初期費用や緊急時の生活支援に役立てることで、長期的な安心感を確保できます。

VI. まとめ:安心・円滑な売却に向けた最初の一歩

国分寺市における高齢者施設入居に伴う実家売却は、高い資産価値を持つ市場の優位性を背景に、法的な事前対策と税制上の最適化を図ることで、極めて有利に進めることが可能です。成功に向けた鍵は、「親の意思能力があるうちに法的な準備を完了させること」と、「税理士と連携し、生前売却による3,000万円特別控除の適用を最大化すること」に集約されます。

安心・円滑な売却に向け、まずは親御様の現在の意思能力を確認し、国分寺市の市場を熟知し、税務・法務に強い専門家と連携できる不動産会社に相談いただくことを強く推奨いたします。この最初の一歩が、親御様の未来の安心と、ご家族の負担軽減につながります。
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